ユースケース紹介:監視カメラシステムで容量を節約しつつも鮮明な映像を残したい

監視カメラシステムの用途と要求事項

監視カメラシステムを構築する場合、"保存が必要な期間(時に法律からの要求となっている場合もあります)"と"用意できるストレージの容量"といったあたりを天秤にかけて、最終的にカメラの画質であったり、フレーム数を決定することになります。

万が一事件などが発生し、監視カメラの映像を確認するとなったような場合、監視カメラの映像としては"連続性"が求められるケースが多くあります。ここでいう連続性とは「事件の前後にわたり連続して映像がちゃんと取られている中の一部として事件に関する映像が記録としてちゃんと残っている(正常稼働しているシステムで撮影したよ、という証拠)」といったものになります。このような場合は、イベント録画機能などで「何か物体が動いた場合に記録を取っておけばよい」というわけにはいないので、連続性を担保して期間を満足させるためにストレージ容量が過大となってしまうケースがあります。

人通りが多いところでは、常に動きがあるので常に必要なレベルの精細さで映像を残しておくほかかありません。一方で、無人販売店の監視カメラや、田畑の盗難防止用のカメラ河川映像の記録カメラなど、人がいない時間の方が長かったりし、人が訪れた時のみ精彩に映像が残せれば問題ありません。

このような場合に、「連続性を担保しつつ、人などが来たときは精彩に映像を残す」といった方法についてご紹介します。

マルチストリームカメラとイベント録画

監視カメラ用のネットワークカメラには、複数のストリームを配信することが可能なモデルがあります。例えば、Axis社の3Streamカメラとしては、下記のようなものが互換性検証済みリストに掲載されています。

こういったマルチストリームカメラでは"高精細映像"と"低精細映像"といった形で複数のカメラ映像を流すことが可能です。イベントが発生していないときは"低精細映像"、イベントが発生したときは"高精細映像"を記録するように設定することで、「連続性を担保しつつ、人などが来たときは精彩に映像を残す」といったことが可能になります。

実際に、QVR Proで設定方法を確認してみたいと思います。

設定に使用するカメラは、Dahua社のQIPC-01Bとなります。

QVR Proのカメラ設定に移動し、

カメラの編集に進みます。

カメラ設定の編集ページに"カメラストリーム"という項目がありますので、こちらに進みます。ここで、"ストリームモード"が"シングルストリームモード"となっているようでしたら、"デュアルストリームモード"に変更します。すると、ストリーム1、ストリーム2といった複数のストリーム設定が行えるようになります。

ストリーム1に高精細で録画するときの設定を入力し、ストリーム2に低精細で録画するときの設定を入力します。

下の方へ行くと、"録画機能を有効にする"という項目があります。

ここで"通常録画"を"ストリーム2"に、"イベント録画"を"ストリーム1"も設定します。

こうすることで、イベント録画のときは高精細の映像が保存されるようになります。

次にイベントルールを設定していきます。

ルールの追加に進んでいき、人物検出タイプでイベントを設定します。

"アクションの追加"にて、イベント録画を行うカメラを選択します。

これで、"人を検出した場合にイベント録画を実施する。イベント録画では高精細ストリームの方を録画する"という設定ができました。

イベントを検出し、イベント録画がされている間は、ストリーム1が"録画"ステータスになることが確認できます。

映像ではわかりにくかったのでファイルのフォーマットで確認すると、通常録画の方は640x480 5fpsで記録されているのに対して、

イベント録画の方は、1920x1080 15fpsで記録されていることがわかります。

モーション検出だと、木々の揺れや、室内エアコンの風によるカーテンの揺らめきなどでイベントとして記録されてしまうケースがありますが、AIを使った"人物検出"を使用することで、効率良く人物が画面内に現れた時のみ高精細に記録を残すことが可能となります。

まとめ

今回は、監視カメラシステム構築の際に要求される場合が有る「連続性を担保しつつ、人などが来たときは精彩に映像を残す」を実現する方法についてご紹介しました。

本文書内でも当てはまるユースケースをご紹介していますが「無人販売店の監視カメラや、田畑の盗難防止用のカメラ河川映像の記録カメラなど、人がいない時間の方が長かったりし、人が訪れた時のみ精彩に映像が残せれば問題ない。」という場合に効率良く長期間の映像を残すことが可能となります。

ご参考になりますと幸いです。

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